しらす豆知識

しらす漁獲法

しらすとは片口鰯(かたくちいわし)の稚魚のことであり、西日本全般に於いて、主として「二艘曳き」と呼ばれる漁法によって漁獲されています。

それは下図のように、二艘の船によってネット(漁網)が左右に拡げられた状態を保ちながら、曳網されるという漁法です。この二艘曳きによって中層トロールが可能になります。二艘の船の間隔やその速度によって海中の網の深さが調節できるからです。海底を曳きませんから、海底の異物類が混獲される事がありません。魚群探知船によって魚群を調べ、その魚群の水深に合わせて海中の中層を曳網します。

また、この漁網は、その入り口の部分は編み目の幅が大きく、さらに数メートル先からは幾分小さくなり、そして、最終部分は大変小さな編み目の「もじあみ」と呼ばれる網となっています。そして、この「もじあみ」の直前には、「なかぶくろ」と呼ばれる、幾分荒めの網によって作られた構造物が配置されています。これは、全体の網の中に、さらに小さな網が二重構造的に配置されていると考えていただいて構いません。

段々に、奥へ行くほどに編み目が小さくなる事によって、対象としない大きな魚(くらげ、浮遊物等々)が、網の中から外へ排出されることを促します。また、最終のもじあみの直前に、中袋があることによっても、異物や大きな魚の混入を防ぎます。これらによって、漁獲時点から異物が混じることを幾らかでも防ごうとしているのです。

なお、使用されている網の素材は、主として「ナイロンもじあみ」と呼ばれる網です。これはナイロン製であり、編み目は、実際に編まれています。一部、「ナイロン・ラッセル網」と呼ばれる網も使われています。これは、編み目部分は、網の製造時から接合されているもので、実際には“編まれて”いないタイプの網です。素材はいずれもナイロンです。

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